Column コラム

Vol.23【自然災害・環境リスクに備える企業マネジメント~押さえるべきポイントは~】

今回のコラムでは、以下のラインナップでお送りいたします。


環境リスクと事業の存続

今日の企業が直面する環境リスクや自然災害はこれまで以上に多用かつ複雑化しています。例えば、気候変動による極端な気象は、2019年に発生した日本での豪雨による浸水被害や、2020年のオーストラリアの森林火災のように、企業のサプライチェーンやインフラに甚大な影響を与えます。これらの自然災害は、企業の物流や生産活動に直接的な打撃を与えるだけでなく、従業員の安全やコミュニティの生活にも影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクに対抗するためにも企業は事前にそのリスクへの対策を講じる必要があります。
今回は企業における自然災害リスクへの対策方法について、弊社顧問である西岡敏成氏に話をうかがいます。
※本内容は、西岡氏へのインタビューを基に再編集したものです。
 

1:自然災害・環境リスクは企業活動に大きな脅威となる

自然災害・環境リスクは、提供サービスの遅延・停止、従業員の安全、資産の損失など企業にとって大きな脅威となることがあります。自然災害は以下のように分類することができます。

■自然災害
・地象災害(地震、土砂崩れ、火山現象など)
・気象災害(台風、大雨、竜巻など)
・海象災害(高潮、津波、 塩害など)
自然災害は、上記の1事象が単独で影響を及ぼす場合もありますが、様々な事象が複雑に絡み合って大規模な影響を与える場合も考えられます。
また、環境リスクには都市災害、管理災害、産業災害、交通災害などの人為災害も含まれることがあります。

あらゆる災害は、予測が困難であることでその影響の大きさが増しています。企業は、これらの変動に柔軟に対応し、事業の持続可能性を確保するための戦略を練る必要があります。

 

2:適切なリスク管理と事業継続を保つ必要性

企業が自然災害や環境リスクに対して十分なリスクマネジメントを行っていない場合、企業は事業の存続に関わる危機に陥る場合があります。そこで、企業は想定される自然災害・環境リスクに対して適切な対策を講じておく必要があります。リスクを想定する際に経営層は「大きく構えて、小さくまとめる」という姿勢が重要になります。

企業は、自然災害や環境リスクが、事業活動に及ぼす影響を深く理解し、継続的にリスクの特定、分析、評価を行う事で、予防策や対策を立てることができ、安定した事業の継続可能性を高めることができます。一方で、十分な対策が行われていない場合、以下のような状況を招く可能性が大きくなります。
・経営基盤の維持ができない
・事業縮小の必要性が生じる
・人員が離職する。もしくは解雇せざるを得ない状況に陥る
⇒廃業、倒産の可能性が高まる
⇒信頼、信用が失墜する

 

3:企業が自然災害や環境リスクに対処するための基本的なマネジメントポイント

企業がリスクマネジメントを立てる際にBCP(事業継続計画)などは重要になりますが、それ以前にリスクのマネジメントを行うBCM(事業継続マネジメント)が重要になります。

想定されるリスクを列挙し、それに対してどのような危機対策を立てられるかを、事前に決めるマネジメントを行った後に、BCPのような具体的な対策を立てることが必要です。

リスク判断の範囲を広くとっておくことで、いざという時の対応の柔軟性を高めることができます。リスクへの判断を適切に取るためにも、自然災害・環境リスクに関する情報を収集し、リスク範囲を小さくとるのではなく、大きくとることが重要です。

 

 


自然災害・環境リスクに対する具体的な対策の方法

LINEUP1では自然災害・環境リスクにどのようなものが考えられるか、また企業がリスクマネジメントを行うべき理由を見てきました。LINEUP2では企業がどのような対策を立てるべきか、リスクマネジメントの順序などを含め解説を行います。企業が自然災害・環境リスクに対して最初に行うべきポイントや実際に災害が発生した際にどのように対応すべきかを、引き続き弊社顧問である西岡敏成氏に話をうかがいます。

 

1:企業としての基本方針を明確にする

企業がリスクマネジメントを行う際に重要なのは、対策に関わる基本方針を明確にすることです。様々なリスクに対して対策を講じていく中で、事前に何を重要とするのかについての共通認識を定めておくことで、対策の方向性が決まります。

基本方針には、改めて認識されづらいことや、対策の際に大切にしたいことを文章化しておきます。例えば「社員の安否確認を徹底して行う」や「保有するデータへの保守管理を徹底する」ことなどが挙げられます。

記載する内容は、企業によってサービスや商品内容などが異なるため、業容を踏まえて重要なものから対応する方針を決めていきましょう。
また、基本方針を立てるためには、事前に企業内にある情報を共有し、組織の透明性を高めましょう。情報の透明性を高めることで、リスクの予測が立てやすくなり、具体的な対策を立てる際の参考になります。

 

2:企業分析を行う

基本方針が明確になった後は、企業における事業の中核が何か、優先的に提供をすべきサービス・商品は何なのかについて、分析・把握することが必要です。

事業の中核を把握できたら、それを継続するための資源はどのようなものがあるかを洗い出し、緊急時の資源確保の方法などを対策の中に取り入れましょう。また、万一中核事業が継続できなくなった場合も想定し、復旧までの方法と日数などを予めシミュレーションすることも大切です。

その際は、自社だけではなく、サプライチェーンも含め、復旧の対策方針を定めておくと有効です。事前にどのような対策にするのか共通認識を持っておくことで、サプライチェーンへの安心感を与えることができ、早期復旧に繋がります。

 

3:BCPなど具体的な対策方法を策定する

基本方針と企業分析が完了したら、具体的な対策を立てるためにBCP(事業継続計画)の策定を行いましょう。

BCPを立てる際に、第一に重要なのは、従業員の安否確認です。従業員の安否は緊急事態が発生した際に、事業継続よりも優先して取り組むべきです。事業継続のための対応を行うには人的リソースが必要になりますので、安否確認のためのネットワークを構築しておきましょう。一方的な情報が送られるシステムではなく、連絡が可能な双方向性のあるネットワークであることが重要です。安否確認だけでなく周辺の状況などの情報を収集することにも有効となります。

安否確認後の対応に関しては事前に具体策を作成しておきましょう。従業員が負傷した場合や家族の避難が必要な場合など、想定される各シチュエーションに対して事前に対応を決めておくことで、スムーズに対処することが可能です。

従業員の安否確認が完了したら、事業存続のための対応を行いましょう。緊急時にはサプライチェーンも含め、状況整理のために情報収集を行いましょう。会社に集合する場合は、出勤経路において周辺の状況を確認し、そこで得た情報からどの搬送ルートが使用できるのか、などの判断に活用することができます。

 

 


環境リスクに対応できる強靭な組織づくり

LINEUP3では自然災害・環境リスクに対応するためにどのような組織作りが必要なのか、企業だけではなく、地域コミュニティとの繋がりという視点から日常的な取り組みに関して、引き続き弊社顧問である西岡敏成氏に話をうかがいます。

 

1:企業は持続可能で強靱な組織を築くべき

企業の持続可能性と強靭性は、想定されるリスクに対してどれだけ準備をとることができたのかという点が重要です。このため、経営者はリーダーシップを発揮し、企業文化、戦略、オペレーションの各レベルでリスクの洗い出しと対策の策定を行うべきです。日常から危機対策案を講じておかなければ、緊急時に迅速な対応を行うことはできません。

また、自社だけではなくサプライチェーンなど関係する事業者との意識合わせをしておくことも大切です。自社の利益だけでなく、関係各所との共生を行える環境を作っておくようにしましょう。

 

2:社会への貢献と地域社会との共生を目指す

自然災害・環境リスクに対応するためには、地域コミュニティとの繋がりも重要となります。繋がりを持つためにまず重要なのが、日常的な情報の連絡と共有です。

そのためには、周辺地域の町内会長や地域に根ざした自治体など、地域住民と繋がりを既に持っている人物(団体)に対して、繋がりを持てるように働きかけを行い、繋がりが持てた際には、有事に連絡がスムーズに取れるよう連絡網を作成しましょう。

また、自社が強固な建造物を所有している場合は、地域の指定緊急避難場所又は指定避難所に指定してもらえるように自治体に働きかけをしましょう。避難場所として指定されれば、市や地方自治体から、災害時の食料や物資などの支援を受けられる可能性があります。

自然災害や環境リスクに関しては、自社だけ単独で対応するのではなく、地域と連携をとり、集団で対応できるような環境を構築しましょう。

 

まとめ

近年の自然災害や環境リスクは予測が益々不可能になってきています。緊急時においても自社への影響を防ぐために事前のリスクマネジメントの重要性は高まっています。危機に対応できる組織となるためにも、地域コミュニティとの繋がりを持ち、万全の対策を立てるようにしましょう。また、事件事故やサイバー犯罪など自然災害のみではなく、人為災害のリスクも考えられます。自社の情報やデータを守るためにも情報収集を行い、まずはリスクの洗い出しから取り組んでみてはいかがでしょうか。

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